ラグナロク・オリジナルストーリー第六話―心眼を持つ者



オークダンジョンの中へ、少々急ぎ気味に入っていくブリジットと時。
しかし何かがおかしい・・・人が全然いないのである。
ブリジット「へぇ・・・珍しい、ここは結構人が多いはずなのに今日に限っていないねぇ〜。」
そう呟くと走るのをやめ、それと同時に神経を研ぎ澄ます。
殺気しかないこの場所は、不意打ちをされてしまう時が多い為である。
そして少しあるいた所で時が何かを見つける・・・どうやら人のようだ・・・数は三人。
時「ブリジット殿、やっと人がいましたな・・・ん、様子が少しおかしい?」
時の目にはアサシン一人と盗賊二人の姿が確認できた。しかし何故か戦い方がぎこちない。
実際もっと細かく言うならば、アサシンが二人を援護しているというように見える。
ブリジット「ふむふむ・・・どやら盗賊の二人をかばって戦ってるみたいだね。いやはや、がぬばってるな〜。」
確かにそうとも見える・・・が、しかしいかんせん敵の数が多い。
アサシン一人だけではあの二人をかばいきる事は難しいだろう。


そう考えている矢先、ブリジットが急に大声を出した。
ブリジット「ん・・・?ああ!あれフェイさんだって!ほらほら!」
そう言われ改めてアサシンを見る時。すると確かにブリジットより知り合ったあのフェイ本人に間違いが無かった。
時「確かに・・・すごい偶然としか言いようが無いな・・っ」
突如声を切り、あたりをじっくりと凝視する。
・・・殺気。
ブリジット「・・・感じからしておよそ敵は三体。フェイさんを囲んでいる敵は5体以上。・・・時さん、ここは任せられるかい?」
無言で頷く時。次の瞬間時の目の前にオークゾンビが斧を振りかざそうとしていた。
斧を振りかざすオークゾンビ。しかし標的である時は瞬時にオークゾンビの後ろに回り愛用のカタールで敵を切り裂く。 くぐもった声を上げながら、その場に倒れこむオークゾンビ。
時「了解した、脱出の経路を確保しておく。・・・武運を祈る。」
そう言うなり後ろの方から現れた敵に向かって走っていく時。
「がぬばるよ〜!」と雰囲気に合ってない声を出しフェイの方へ走っていくブリジット。



フェイを改めて確認すると、腕をぶらんとさせ楽な姿勢を取り始めた。
ブリジット「・・・ん、リミッタ―を外したか・・・?がぬばるなぁ」
次の瞬間、体勢を戻しオークゾンビに突っ込んでいくフェイ。
フェイ「ソニックブロウ!!」
そういうなり、人間ではありえないようなスピードでオークゾンビを切りつけるフェイ。
敵は何をされたのかわからず逝っただろう。
その後、咄嗟に苦痛の表情を浮かべる。
この技を使うと体中の筋肉が後で悲鳴を上げる、いわゆる"諸刃の剣"故にだろう。
少し苦痛の表情で盗賊二人の方へ駆け寄っていく。
盗賊の二人組はあっけにとられたような表情をしていた。
その表情が面白くて、遠くからついつい吹き出してしまった。


ブリジット「にゃはは、おもしろい表情だなぁ・・・っと、笑ってる場合じゃない、急がなくちゃ!」
そう呟きペコペコを走らせるブリジット。しかし不思議で不思議でしょうがない。
ブリジット「あのフェイさんが弟子でも取ったのかな・・・?むー・・・そんな訳ないか。」
すると周りの敵がいなくなり安堵の表情を浮かべ話を始める三人。
しかしブリジットはスピードを下げずに走っていた。
ブリジット「・・・さらに五体くらい向かってるな。フフ、まったくもって大量に沸くなぁ。」
少し笑みを溢しつつフェイ達の方へ向かう。
当の本人である三人組も、新たな敵の存在に気付いたようだ。
フェイが戦闘態勢を取った時、フェイが自分の存在に気付く。
「やほ♪」と軽く声を掛けた後、咄嗟に身を翻しオークゾンビの群れに突っ込んでいく。
後ろでフェイが「もう大丈夫よ、二人共。」と言うのが聞こえた。
冗談で無理〜!とか言おうかと思ったが後が怖いので止めておこう。
目の前にいるのはオークゾンビ五体。 ブリジット「・・・一体づつ殺るのはめんどくさいな」
目を一瞬つぶる。
刹那、両手剣を思いっきり振りかぶり敵一体を切りつけた。
ブリジット「ボーリングバッシュ!!」
すると切られた敵の周りに凄まじい風が発生する。風は渦を巻き、竜巻のように敵全員を襲う。
敵が他の敵とぶつかり,それが連鎖となって次々と粉々になっていく。
敵が亡骸に冷めた視線を向け、全滅を確認してからフェイの方へ戻っていく。
ブリジット「やっほ〜・・・まぁ積もる話は安全な外でしますかね。後ろのお二人さん、まだまだがぬばれますかい?」
そう声を掛けられると、後ろで立っていた盗賊の二人組が声を出さずにコクコクと頷く。表情が固い。
まぁ、多分先ほどから上級職の技ばかり見ているせいだろう。
・・・自分もなれば出来るのに。
元来た道を見るも敵は全然居らず、代わりに目立つ様に時が突っ立っているのが威容に目立った。
時「ひとまずここらへんの敵は一掃しといた。・・・早くでよう、今日は敵の出現が異様だ」
そういうと一緒に走り出す時。時が一掃してくれたおかげか、多少いたものの入り口の小屋まで戻る事が出来た。



フェイ「ありがとう、ブリジットさん。」
小屋に着いてほっと一息いれる全員に対しまずフェイが声を出した。
ブリジット「にゃはは、気にしなくていいよ〜。」
そう笑って返す。フェイもふふっ、と笑みを溢す。
・・・この笑みがいつになったら本当の物になるのかな。
そう思っていると、時が不意に二人に軽く視線を向けた。
時「で、フェイ殿、こちらのお二方は?」
自分も、軽く品定めでもするかの如く視線を向ける。
・・・我々に比べると、かなり雰囲気が若々しい。
少々年寄りくさいかもしれないが、その言葉が今一番しっくりくるので仕方が無い。
それ故に、彼等に対する興味は非常に大きかった。
彼女は、基本的に彼等の様な存在とはかたくなに付き合わない傾向があったのだから。
力のみを求める彼女が彼等の様な存在と接触・・・期待が自然と膨らんでくる。
そんな自分の期待とは裏腹に、彼女の答えはさっぱりとしたものであった。
フェイ「さぁ?」
おもわず大きな声で咳き込んでしまった。
・・・まぁ、想像はしていましたが。
次の瞬間、小屋の中が気まずい雰囲気に支配される。
その雰囲気に焦りを見せたのは誰でもない、彼等であった。


「いや、あの・・・え?」
片方の盗賊の男が慌てながらも声を出す。片方の盗賊の男も一緒になってフェイの方を向く。
フェイは黙々と喋る・・・相変わらず、変わっていないな。
フェイ「だって、たまたまダンジョンの中で出会っただけだし。」
そう淡々と喋るフェイ。隣にいるブリジット殿をを見ると何か凹んでいるように見えた。
そうして視線を二人へと戻す・・・が、雰囲気が微妙に気まずくてどうも居心地が悪い。
我慢の限界なのか、片方の盗賊の男が隣のブリジット殿に顔を向けた。
「あ、あの・・・助けていただいてありがとうございました。」
姿勢を少し縮めてお礼を言っている。
最近では珍しく、礼儀をわきまえているようで感心だ。
「俺、ラップって言います。こちらがアニキのハンク。」
すると紹介された"ハンク"と呼ばれる盗賊も、軽くこちらにお辞儀をしてきた。
ブリジット「よろしく〜。私は見た目通り騎士を務めさせて頂いておりますブリジットです〜。」
そういうなり笑って見せるブリジット。
ブリジット「んで、こちらがギルトメンバーの時の番人さん。」
自分が紹介され、軽く二人に「初めまして」と軽いお辞儀と共にあいさつをした。
その後、軽い自己紹介が行なわれていた・・・ブリジットが寝ていたのは気のせいであろう。
すると、不意にフェイが立ち上がる。
おおよそ、もうこの場所に留まっているつもりはないという意思表示だろう。
それに合わせ、隣で寝ているブリジット殿の肩を揺らして起こす。
しかし状況が理解できてないらしく、周りをきょろきょろしていた。
フェイ「じゃあ、ブリジットさん達行きましょうか。」
その発言に目が完全に覚めてないのでぼーっとしていた様子だったが、多分平気であろう。
ブリジット「うぃぃ〜〜。」
時「うむ。」
ふらふらしながら立ち上がるブリジット。
そんな光景を変えるかのごとく、ラップが口を開いた。



ラップ「あの、どちらかのギルトに入れてもらえませんか?」
その発言に両者共大きな音をたて吹き出してしまった。
ブリジット(な、いきなり何を・・・?)
先程アニキと呼ばれていたハンクの方も慌ててラップに詰め寄る。
ハンク「ば、バカッ!何言ってんだよ!」
次の瞬間ラップがハンクに何か小声で喋る。
フェイと時は聞こえていないようだったが、自分には微かではあるが聞こえていた。
ラップ「だって、ギルトに入ったら少なくとも今よりかは、温かいご飯にありつけるかも?」
その言葉を聞いて、少々何と返答すればいいか困ってしまう。
ブリジット「ん〜・・・どうやら随分困った生活しているようだなぁ・・・」
そう呟いたとほぼ同じタイミングで、ハンクが大きな声で「俺からもお願いします!」と威勢良い声を出し頭を下げた。
時に軽く視線を向ける・・・が、やる前から正直な所答えはわかっていたのかもしれない。 予想通り時は何も言わず顔を横に振る。そして苦笑しながら再度彼等の方を向いた。
ブリジット「むぅー・・・といわれてもなぁ・・・こっちは最近新しいギルトメンバー迎えたばかりなんだよ〜。」
すると瞬時に標的を一点に絞るラップとハンク。その行動の速さには敬意さえ表したい物である。
ラップ「お願いします!姐さん!」
ぶっ、と盛大に吹き出すそうになったが、しかし笑ってはいけないと腹を抱え我慢をする。
言われた本人は、冗談でもないと言わんばかりに声を荒げる。
フェイ「誰が姐さんよ、誰が!」
大声で反論するフェイ。が、その光景が面白くてついに声を少し漏らし笑ってしまった。
そんな自分を、横で時がを見て呆れている。
時「すまんがブリジット殿・・・頼むから笑わないでくれ。」
ブリジット「だ・・・だって・・・あああ姐さんって・・・くくく」
彼女がそういわれるのは新鮮かつ面白みに満ちあふれてはいないだろうか?
そう考えていると、次の瞬間とどめの一発が入る。
ハンク「姐さんの強さに惚れました!舎弟にして下さい!」
ペコペコの上で我慢の限界なのだがをなんとか抑えようと必至になってもがく。時は止める気さえ失せたようである。
フェイもさすがにここまで言われると冷静さを取り戻していく。
そう、いつもの彼女に。
フェイ「・・・うざいし。」
ブリジット「ぶ・・・うわっ、フェイさんひどいな〜」
素直じゃないなぁ・・・と思い笑いながらつい突っ込みを入れてしまった。
ラップ「そう言わずお願いします!」
随分必至になって頼み込む姿についつい骨が折れたのか、フェイが腕組みをして考える。



フェイ「じゃぁオークヒーロー倒すとか・・・」
ハンク&ラップ「無理!!」
はもって言葉を返す二人。そりゃそうだよな・・・、。
次々と難問をフェイが吹っかける中、時と自分はこの現場を見てただ苦笑してるしか無かった。
ブリジット「なぁ時さん。助けに入ってあげた方がすごいいいと思う今日この頃なのですが」
時「・・・私に振らないでくれ。」
そんな話を小声で話していると、不意にフェイがこちらを向く。
フェイ「じゃぁ・・・ブリジットさんに一太刀浴びせたらギルトに入れさせてあげる」
ブリジット「はぃ!?私!?」
急に振られたもんなので声が裏返ってしまった。小悪魔的な笑みを浮かべるフェイ。
ハンク「本当ですね!」
当の本人はやる気満々のようで、軽く準備運動の様な行動に移っている。
ブリジット「どうするんだよぅ」
と、正直困り気味にフェイさんに小声で話す。
フェイ「ごめん、少し試したいの・・・ちょこっとでいいから殺気をあの子達に向けてくれる?」
その提案に驚いたのは自分でもない、時であった。
時「たとえ少しだけとはいえ・・・そんな事したらあいつ等の体が持つわけ無かろう!」
そう小声で中止するべきと抗議する時。しかしフェイの意思は変わらない。
フェイ「ほんの少しだけの殺気にも耐えられないようじゃこの世の中生きていく事さえ不可能よ」
言う事は間違ってはいない・・・が。
その答えに口ごもる時。しかし反論を続ける。
時「少しとはいえ何故ブリジット殿なのだ!?ブリジット殿がどういう"体質"なのかしってるだろう!なら私が・・・。」
その言葉を遮るかのように話を切り出すフェイ。
フェイ「わかってるわ・・・でもだからこそ頼んでいるのよ。ほんのちょっとでいいから協力してくれない?」
そういって自分を見るフェイ。
まぁ、少しだけなら・・・。
ブリジット「・・・うぇ、仕方がないなぁ。でも本当に少ししかやりませんよ?初心者の方々に死んでほしくないので。」
そう呟き、時の方を振り向いて「平気さぁ〜」と言ってのける。
時「仕方がない・・・少しなら私は何とかブリジット殿の殺気を我慢できるが・・・何とか耐えてくれ、二人共。」
そういって複雑な表情でハンクとラップを見る時。
時が退いたのを確認し、ペコペコから降りてハンクに近づいていく。
ハンクは拳を固めてブリジットを見ていた。
その眼は生気に満ちあふれ、こういうのも何だが正直眩しささえ感じる。
ほぅ・・・と呟き笑ってハンクとラップを見る。
ブリジット「うんうん、いい目だね。恐れを知らない、純粋さに溢れる目だ。」
ハンクとラップに聞こえるように呟く声で話す。



・・・彼等は大丈夫だろうか?
その心配だけが、自分を取り巻いていた。
フェイもフェイだ、一体何を考えてこのような事をするのだろう。
何か考えがあるのだろうが、それを読み取る事は自分には出来なかった。

ぞくっ・・・

体中が危険信号を出している。
それに呼応するかのように、ブリジット殿の眼がじょじょに変わっていくのがわかった。
・・・くるか。

ブリジット「フフ、汚れ無き心の持ち主のようだね。しかしな・・・・・・故に、脆い。」


その声と共にこの小屋全体が得体の知れない何かに包まれたかのような、訳のわからない恐怖にハンクは襲われた。
息が出来ない、今すぐここから逃げ帰りたい。ラップも似たような感覚にとらわれて居た。
ただ、フェイと時のみが何も言わず黙って見ている。
何故?ただ笑って声を出しているだけのあの騎士に何故こんなに恐怖を覚えるのか?
混乱していると共に吐き気が襲う。「くそっ」と呟き拳を解くハンク。隣ではラップが膝を抱えて震えていた。
ラップ「あ・・・アニキ・・・あの人怖いっス。」
次の瞬間。はっ、と我に戻ったかのような感じで慌てて二人に謝罪の言葉を入れるブリジット。
ブリジット「わわわわ、大丈夫!?・・・あ、一応平気のようだね、よかったぁ・・・。」
そう言うなりほっと肩を撫で下ろすブリジット。後ろの方ではフェイが「ふむ」と声を上げていた。
時「初心者であれぐらいの殺気に耐えられるならば・・・条件はクリアーしてるはずだ、フェイ殿。」
その問いかけに頷くフェイ。
フェイ「敵の怖さがわかれば上出来よ。」
時「まったく・・・フェイ殿も人が悪い・・・。」
そういってラップとハンクの状態をみるなり、フェイの発言に苦笑する時。
ブリジット「なんだよぉ・・・これじゃぁ私が怖がられるような設定じゃないかぁ・・・ひどいやひどいや」
隅っこで凹むブリジット。ハンクとラップの視線がさっきからとても痛い。
反面、この二人にはなかなかの根性があるもんだと感心もしていた。
フェイ「じゃ、こうしましょう。」
フェイはまた子悪魔的な笑みを浮かべてハンク達の方へ向きかえった。



ハンク「条件ですか?」
フェイの唐突な発言につい聞き返してしまったハンク。
横ではラップが「何いわれるんすかね・・・」とぼそっと小声で呟いた。
フェイ「えぇ。私のギルトに入りたいなら今から私の言う条件をクリアーしてもらうわ。それでいいかしら?」
言われた本人であるハンクとラップは固い表情で「はぃっ。」と声を上げる。
どうやら先程言われた無理難題が尾を引いてるようである。
フェイ「まず一つ目。自分達の力を高めなさい。・・・そうね、最低限このオークダンジョンを一人で過ごせるくらいかしら?」
その言葉にお互い顔を見合わせる二人。先程の所を一人で過ごせ、というのか・・・
お互いが不安がってる中時が二人をちらっと見るなり言葉を二人に投げかける。
時「・・・いっとくがフェイ殿がいくダンジョンはここなんぞ比にならん。これは易しめの条件のはずだ。」
その言葉により一層顔を青くさせる二人。そんな光景をおかまいなし、といった表情のフェイ。
フェイ「二つ目。ブリジットさんのお抱えの新人達、"イング"という剣士率いるPTのサポートをすること。」
その言葉に耳を疑うブリジット。
ブリジット「あれ?フェイさんにイング達の事言いましたっけ?」
そう聞かれると顔を横に振るフェイ。
フェイ「・・・ブリジットさん、もう少し自分が目立った存在って事考えた方がいいわよ?この話、巷でとっくに流れてるわ。」
その言葉に「あちゃ〜」と手で顔を隠すブリジット。それと変わって相変わらず時は無表情である。
ラップ「んで姐さん、その人の情報教えて下さいっス!」
威勢良く声を出すラップ。しかしフェイは相変わらずだ。
フェイ「さぁ?自分で調べなさい。」
威勢良く吹き出す盗賊二人と騎士一人。「そりゃないでしょ」と笑ってブリジットが言って返す。
ブリジット「えっとね、イングの特徴はね〜、剣士で赤い肩に掛からない程度の髪、んで今ぐはっ!」
最期の言葉を最期にブリジットがペコペコの上で倒れる。・・・な、何がおきたんだ・・・。
フェイ「ヒントはこれまで、後は自分達で頑張りなさい。情報収集も冒険家として大事な行動よ?」
そう軽く言うフェイ。ブリジットはまったく動かない。・・・よくみると寝ていた。
ブリジット「ぐー・・・むにゃむにゃ。」
その姿を哀れむような目で見ている時。
時「・・・すまん、こちらは無視して話を続けてくれ。」
そういうなりブリジットを起こそうと躍起になる時。そんな光景を背にしてフェイは話を続ける。
フェイ「最期。私のギルトメンバーである春嵐という名前のアサシンに一太刀入れる事、これで全部よ。」
その発言に思わずフェイの方を向く時。フェイはそんな時に「平気よ」と一声かける。



ハンク「よし、この条件さえクリアーできればギルトにいれてもらえる、頑張るぞラップ!」
「はい、アニキ!」と元気良く答えるラップ。こんな仲間同士なら他愛もないこの光景を複雑な表情で見守る時とフェイ。
歓喜、恐怖、その他普通に人が持っているはずの感情がこの二人にはない。・・・否、"あの事件"以降捨てたのだ。
表情が固くなる中、不意にブリジットが二人にしか聞こえない小さな声で呟く。
ブリジット「フフ、君達には眩しすぎる光景かな?・・・安心していい、君達はまだ昔の生活に戻れる。それだけは忘れない事さ。」
その言葉に驚いた表情でブリジットを見る時とフェイ。
二人が異論をかけようとする前にブリジットはハンク達の方へと向かっていってしまった。
ハンク達の前で「にゃはは〜」と笑うなり話を切り出していく。
ブリジット「さて、私は初心者を応援するという方針をもっていてね、冒険を始める君達に資金援助だ!」
そういうなり重そうな袋を二人に渡すブリジット。中身を確認するなり固まる二人。・・・次の瞬間。
ハンク「!!!!! おい見ろよラップ!は・・・80kはあるぞ!?」
ラップ「すす・・・すごい金額・・・こんなお金見たことないっすよ!」
歓喜極まりない声を出す二人。その光景を笑いながら見つめるブリジット。
するとフェイが近づいてきた。騒ぐのを辞める二人。
フェイ「この条件、辞めても続けても何も言わないわ、ただやるなら頑張りなさい。あ、これ貴方達に軍事資金よ。」
そういって先程ブリジットが二人に渡した袋にお金を追加するフェイ。・・・結果総額100kとなった。
あまりの大金に固まる二人、その光景を見て笑うブリジット。フェイは時の隣へと戻っていく。
ブリジット「さぁて、これでお前等はひとまずここから離れて行動するといいだろっ!」
そういって蝶の羽を渡される二人。渡されて念じる。羽が消滅間近でこちらを向く二人。
ハンク「あの・・・色々とありがとうございました!姐さん、今度会う時は絶対条件クリアーしてきます!」
ラップ「皆さんお世話になりましたっス!」
そういってお辞儀をするラップ。消える直前、最期にブリジットの声がきこえた。
ブリジット「君達のような心を持った者が生きていかなければならない。・・・がぬばってくれ!神のご加護があらん事を!」
返事する間もなく消えていった二人であった。



二人がいなくなった小屋に沈黙のみが残る。すると不意に時がフェイの方を向いた。
時「フェイ殿、朗報だ。・・・遂に"奴"の居場所がわかった。」
その言葉にフェイが体をびくっ、と振るわせる。「・・・本当?」という問いかけに対し無言で頷く時。
フェイ「・・・その話、詳しく聞きたいわ。よければ皆私の隠れ小屋で詳しく聞かせてもらえないかしら?」
フェイが隠れ小屋として使ってるのは丁度フェイヨンに存在している。フェイヨンを目指す二人にとって都合がよい。
ブリジット「丁度よい、私達もフェイヨンへ向かうつもりだったのです。・・・ではいきましょうか。」
そういって先陣を切る。無言でその後を追うフェイと時。二人がおびたたしい殺気を発していたのはいうまでもない。気にせずペコペコを走らせる。
ブリジット「・・・そろそろ奴の力を確認しとくべきだったのでな。フフ、噂では聞いているが・・・玉藻前がどれだけのものか楽しませてもらおうか。」
無論この声は後ろの二人には聞こえていない。

様々な思いを交錯させ、三人は舞台を"フェイヨン"へと移すのであった。


つづく





〜あとがき〜
さぁさぁ遂にイング達を置いといてブリジット達の視線で話が展開されるようになってしまいました!(汗
このお話はフェイ様こと澄人様の1話に基づいて私なりに書かしていただいた内容です、あちらをみられるとよりおもしろいかと!
新しく名前がでてきた"玉藻前"とはいかなる人物か!?ハンクとラップはどういってイング達とであうのか!
こりゃ必見ですな皆様!あ、ちなみにほっぽってるイング達はこの話が終わり次第速攻でそちらにいきますw
ひとまず私はフェイさん編を、澄人さんはハンク方面を少し主にやってく予定なのでめがはなせませんね!
ひとまずこのフェイさん編をお楽しみ下さいませ〜。それでは♪
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