ラグナロク・オリジナルストーリー第七話―過去の自分、今の自分



ブリジット「く〜!久々!懐かしいなぁフェイヨン・・・」
そういうと腕を伸ばすブリジット。歩いてきたため、周りはもう真っ暗である。
フェイヨン・・・山岳地帯として有名、近くには竹やぶなどが存在している和風な所である。
近くにはフェイヨンダンジョンが存在、キョンシーのムナック等の不死系が多数存在。そして地下五階には狐のモンスターがいるとして有名だ。
フェイ「もう夜ね・・・ちょっと隠れ小屋の方行って準備しなくちゃ。ブリジットさん達は適当にぶらぶらしてから来てもらえると助かるわ。」
そう告げると颯爽と隠れ小屋の方へ走っていくフェイ。ブリジットが「いってらっしゃ〜い」と手を振って見送る。
時「私は露天などを見て回るか・・・ブリジット殿、それではまた後で。」
そうブリジットに言うと人込みの中に向かっていく時。そんな時に向かってブリジットは「おかしをぉよろしくっ!」と威勢よく言う。
とうい訳で、来て速攻一人となってしまう。
ブリジット「あぁ見送ったものの皆冷たいなぁ・・・ま、時間が時間だしね。仕方が無い、玉藻前さんとやらの情報でも探しますかね〜。」
そう一人呟くと、ペコペコを走らせフェイヨンの"酒場"を目指すブリジットであった。



周りが静まり返ったのに反し盛り上がってる夜の酒場の前に着く。
ここなら何か情報あんだろ!という予想を立ててきたのである。
ブリジット「私ここ嫌いなんだけど・・・人の情報はここが一番ですからなぁ。」
そう呟きペコペコを宿屋の前に置き、中に入っていく。
中に入るなり笑い声などの大きな音が襲ってくる・・・もぅ帰りたい。
だがそういう訳にもいかない訳で・・・しぶしぶと、中に入っていく。
ブリジット「うぅ、うるさい・・・うぇ、すぐ済まして帰りたい・・・私酒も飲めないしなぁ。」
そう呟くと、前の方にあるカウンターを目指す。
周りは一瞬ちらっと新たな来客を確認し、また同じテーブルの仲間と話を始めた。
頭を押さえながらカウンターの目の前に着き座る。
自分の姿を確認するなりなにやら勘ぐり深そうな目でみる店員。
店員「いらっしゃいませ、見慣れないお方ですね。・・・すみませんがお名前はなんといいますか?あ、あと飲み物は何にしましょう?」
そう聞かれると「名乗る者でもございませんので。あ、飲み物は水だけでいです。」と軽く答える。
そういうと、そそくさと水をくみに奥へ下がる店員。
いなくなるのを確認して、名乗ると色々とめんどくさいしなぁ・・・と一人ぼやく。


再度前を見ると、店員が「どうぞ」と言い水を置いてくれていた。
店員「何やら目的有りのご来店のようですが・・・本日はどのようなご用件でしょうか?」
そういうと、持ち前の軽い雰囲気で笑ってこたえる。
ブリジット「えっとですね、最近・・・いや、前からフェイヨンダンジョンに潜っている玉藻前という方について少しお話を聞きたいのですがー。」
その瞬間、周りが一瞬止まる。否、固まった。
すると店員が少し青ざめながらも話を続ける。
店員「あ・・・あの方に一体何の目的があるのですか?」
ブリジット「少しお会いする事となりましてねぇ・・・んでまずはあの方の話でも聞こうかと思った訳ですよ。」
酒場には不釣合いな静けさは尚も続いた。
すると、一人の騎士がゆっくりとこちらに近づき、自分の目の前でとまる。
・・・この人は。
騎士「何を考えているのかわからないが・・・私のようになりたくなければ会うのはやめておけ、死に急ぐ事はないだろう。」
そういう騎士の姿を見て、少々顔をしかめる。
ブリジット「・・・随分と、彼女もやっているようですなぁ」
本来在るべき左腕が、無かった。
話から察するに、腕を切られたのだろう。
雰囲気からしても手馴れであるのも伺える。
・・・余計に会う必要がでてきましたね。


その光景を見ても尚も表情を崩さない自分を見て、騎士が小さく溜息をつく。
騎士「・・・諦める気はないのか・・・」
そう残念そうに答える騎士。無論自分は会うのを辞めるつもりはない。
騎士「あいつはもう人間ではない・・・だめだ、思い出すだけでも恐ろしい。」
恐ろしい、との言葉を最期にがたがた体を震えさせその場に座ってしまう騎士。
その仲間であろう剣士が自分達のテーブルへと騎士を連れて行く。
その姿に「ありがとうございました」と言い、少し笑う。
店員「わかりましたか?・・・悪い事はいいません、あの人と関わるのはやめた方がいい」
・・・十二分、情報は得れたな。
その言葉に丁寧に顔を横に振り、「肝に銘じておきます」と一言声を残し入り口へ向かう。
ドアに手を掛けた瞬間、急にカウンターの方からでかい声が急に放たれる。


「貴様!何でここにいる!」
見ると二人組の男性アサシンと一緒にこの店の店長であろうか、年をとった男性がこちらに向けて罵声を浴びせてきた。
騎士「いきなり何なんだ!」
そう怒鳴りつける先ほどの騎士を睨みつけながら、店長は声を抑制せずに大声で叫ぶ。
店長「こいつを知らないのか!?あの有名なブリジットだよ!!」
一斉に自分に視線が向いているのが解った。
・・・ある程度は慣れてはいるが、やはりいいものではない。
店長「この悪魔が・・・一体ここに何しに来た!」
そんな店長に微笑を向けつつ、隣にいたアサシンの二人組を見る・・・察するにこの店の用心棒といった所か。
手にしているカタールなどを胸の辺りまで上げ話をしている。
あれとぶつかれば、当然自警団・・・最悪周りの冒険者達、か。
・・・ここで争いごとをするのは得策ではないな。
ブリジット「一応言っときますが私は相手が手を出さなければ私は何もいたしませんよ?・・・興味ありませんしね。」
そう言葉を残し、先ほどの片腕の無い騎士に向かってお辞儀をしてから、外に出ようとする。


咄嗟にドアの向こうから殺気が放たれているのを確認し、そこから離れる・・・数はかなりのものだ。
ブリジット「・・・店長さん、あなた自警団を呼びましたね?失礼だなぁ、まったく。」
自警団・・・街を外敵から守る、いわば守護者のようなものである。
ブリジット「まったくもぅ・・・早く自警団説得して私を帰らせて下さいよ、眠いから。」
そういってあくびをするも、状況はまったく変わりを見せない。
戦闘態勢をとかない外の自警団とアサシン二人組。「しかたがないなぁ・・・。」と呟く。
ブリジット「私は戦う意志がないといってるのに・・・君達が原因を作っているじゃないですか。私にどうしろと?」
そういって小さく笑いをこぼす。そんな自分をアサシンの内の一人が睨みつける。
アサシン「よくもそうぬけぬけと・・・"あの事件"を忘れたとは言わさんぞ貴様!!」
・・・あの時の生き残り、か。
ブリジット「はて、一体何の事で?」
そう笑って答えるブリジット。その表情が片方のアサシンからみると挑発以外の何者でもなかった。
ブリジット「・・・と、私も暇ではないのでこれにて失礼したいのですがねぇ。・・・仕方が無い。」
そう呟くと思いっきり壁の方へ向かって走り、そのままスピードを落とさずに思いっきりぶつかって壁を突き破る。
その突き破った先に自分が乗っているペコペコが走る準備をしていた。
突然の出来事に反応が完全に出来ておらず、驚く自警団と店の中の人々。
ブリジット「にゃはは、皆さん残念でした〜〜。じゃ〜ぁねぇ〜〜〜。」
そういい残し颯爽と闇の中へ逃げていく。
今日ここに来た自警団にペコペコに乗ってる者がいなかったのが幸いしてか、しっかりと跡形無く逃げる事が出来た。
その姿にただ呆然と立ち尽くす自警団を尻目に、自警団に近づき店長が状況を説明している。


騎士「・・・彼が、ブリジットか」 先ほどの片腕の無い騎士が、彼の行ったであろう道を静かに見つめていた。
アサシン「・・・くそっ!!」
後ろでは心底悔しそうに、アサシンの一人が壁を思いっきり叩いていた。
そんなアサシンに、ゆっくりと近づいていく。
騎士「君は、彼を前に見た事があるのか?」
そう問い掛ける自分に、まるで睨みつけるかのような視線を向けてくる。
アサシン「あぁ、あいつには忘れたくても忘れられないくらいの事をされたからな・・・」
そう、幾分感情を押し殺したかのような声を出す。
騎士「でもおかしいな・・・いや、俺も一度ブリジットと呼ばれた人物を見た事があるんだが・・・」
そこで一言言葉を切り、再度改まった表情でアサシンを見る。
騎士「ブリジットと呼ばれた人物は、女性だったぞ?」



フェイ「ふぅ・・・こんなもんかしら?」
そういうなりベットに座り込む。今まで頻繁に使われない場所なのでくるたんびに掃除などをするのが習慣となっていた。
・・・あの自分を変えた事件以降感覚もかなりかわってしまった。まず見えないというのがでかかった。
見えないに関しては修行をして何とかなった。だがそれは見えるではない、感じるだけである。
・・・しかしそんなことどうでもよい。あいつさえ殺せればそれでいい。私はそれだけのためにアサシンになったのだから。
ふと小さな小物入れを見つけた。手探りで中を確認する。・・・これは。
それはぼろぼろになった"花の指輪"であった。他人から見ればただのゴミに見えるかもしれない。
しかしフェイにとっては特別な物である。
昔、そうまだ戦うという行為すら知らなかった頃・・・"彼"と一緒に住んでいた頃・・・すべてが懐かしい。
"彼"は一体私をどう思ってこれをくれたのかしらね・・・?私は・・・私は・・・。
すると不意に入り口に人の気配を感じる。・・・噂をすれば何とやら、案の条"彼"、時であった。
時「・・・まだもっていたのか。」
少し驚きがまじった声をだす時。そんな時をふふ、と少し笑って見るフェイ。
フェイ「懐かしいわね・・・時さん、あの時を覚えてるかしら?」
時「あぁ。今思うと訳のわからん話だな。」



時「な・・・なぁ、こんな所きちゃってもよかったのかな?」
15歳頃の時が前にいる緑色の髪の毛の少女に声をかける。
フェイ「相変わらず時は慎重ねぇ・・・平気だってば!それよりみて!すっごいお花畑!」
そういうなり笑顔で周りを見渡すフェイ。15歳ごろである。
この頃は王がモンスターなどの異変に気付き、御触れを出したばっかの時である。
故に人全員がモンスターに過敏になっていた頃でもあった。
時「まったく、モンスターがでたらどうするんだよ・・・あ!フェイまってよー!」
そう言って前の方へ走っていく時。

時「ふぅ・・・やっと止まってくれたか・・・。」
横を見るとフェイが嬉しそうに笑っている。等の本人である時は息切れをしていた。
フェイ「まったく、時は体力なさすぎ!もうちょっと鍛えないとだめよー?」
そういって時の顔を下から覗き込むフェイ。
その時、時が「あ、そうそう」と呟きポケットの中をごそごそとあさり始める。
時「前たまたま貰ってさ、男の俺がもっててもしょうがないし・・・フェイなら似合うと思うし、これあげるよ!」
そういってフェイの手を取りなにやら小さな丸い物を渡される。・・・それを確認するなりフェイが歓喜の声をあげる。
フェイ「わぁ!これって花の指輪じゃないの!時、ありがと〜!」
そういってにっこり笑うフェイ。それにつられて笑う時。少しお互いの顔が赤くなっている。
二人は仲の良い幼馴染であった。よくこうして少し危険な場所へ二人で出歩いたもんである。
今までモンスターの噂は聞いて大人からよく「外にでちゃだめだぞ!」といわれていたがお構いなし、といった感じである。
慎重な性格でたまにびくびくしている時、元気で笑顔の絶えないフェイ。
しかしこの年頃になると色々な考えがあるものである。フェイもその悩みに悩む一人でもあった。
今日こそは勇気を持ってきくんだ!頑張れ私!そう心の中で自分を応援する。
先ほどから隣に座ってる時をちらちらろ見るフェイ。「ね・・・ねぇ時・・・」と声をかけたその時である。
急に後ろから人とは思えない声が聞こえた。驚きすぐさま立って後ろを見る時とフェイ。次の瞬間フェイが震え始めた。
運が悪かった、なんと目の前にいたのはポイズンスポア。自分から攻撃を仕掛ける獰猛なモンスターである。
さらに数が二体。標的を確認するなり二手に分かれて二人に迫ってきた。
時「・・・!くそっ!おぃ、フェイしっかりしろ!逃げるぞ!」
そういわれるなり我を取り戻すフェイ。しかし体の振るえがとまらない。
時「くそ、別れて逃げた方が得策か・・・ならば!」
そういってポイズンスポアの二匹の間を割って通り、二匹の注意を完全にこちらに向けされる。
案の定、近くを通った自分に向かって二匹は釣られるように自分を追ってきた。
時(よし、これなら!)
後は自分が何とか逃げ切れば、何とかなるはずだ。
フェイが無事にしっかりとフェイヨンに戻る事を祈りつつ、時は必至で走った。



時が後ろを見るとポイズンスポアが二体相変わらずくっついている。
時「フェイ大丈夫かな・・・」
そう呟くなりフェイのことを考える時。しかしそれがまずかった。
考え事をしていて足元を見ていなかった為、足元に突き出していた根っこに気付かなかったのだ。
案の定引っかかってしまい、転倒してしまう。
急いで後ろを振り向くと、ポイズンスポアはあと1歩手前までの場所にまで来ていた。
・・・ここまでか!?
その時、目の前に人影がポイズンスポアとの間を割って裂き、モンスターを蹴散らしていく。
二匹の死体を築き、汗を吹きながらこちらを振り向く。
剣士「やぁやぁ、襲われていたようなのでお助けしましたが・・・平気でしたか〜?」
そうほにゃっとした口調で話し掛けてくる剣士。「あ・・・はい。」と頷き答える。
時にとって初めて見た職業についている人だったので、ついつい珍しげに見てしまった。
すると先ほどの状況を思い出す時。すぐにフェイの走っていった方向へ向かおうとする。
が、足首を痛めてしまったようで思うように動けない。
時「すみません、あっちの方向に俺の友人がモンスターに襲われ逃げたんです!つれてってもらえませんか!?」
そう必至にお願いをする時。しかし剣士はあれ?といった疑問の表情をうかべた。
剣士「・・・?あちらには誰もいませんでしたが?もしかしてその友人さんはもぅ街に戻られているのでは?」
その言葉を聞くなり、安心しきった顔で意識を失う時。その姿を見て慌ててそばによる剣士。
剣士「・・・しかたがにゃい、ひとまずフェイヨンにつれていきますか。それにしても無用心だなぁ。」
そう呟き、時をおぶさる剣士。・・・後にこの剣士と旅をするなんてこの時思ってもなかった。



時「まぁ無論この剣士はブリジット殿だった訳だが・・・そういえばあの後どうなったか、フェイ殿の話は聞いてないな。」
その言葉に顔を向けるフェイ。
フェイ「あの後私はね、ナチュアってシーフとカナウってアコライトに助けてもらったわ。」
そういうなり窓を見るフェイ。
フェイ「そして私をあの二人は育ててくれたわ。」
時「・・・だから私が街に戻った時いなかった訳か・・・私はあの時フェイ殿が死んだと思ったのだぞ?」
そういってフェイをみる時。
フェイ「そう、心配してくれたのね・・・ありがとう。もしかして泣かせちゃったかしら?」
ふふっ、と笑い子悪魔的な笑みを浮かべるフェイ。時は何も言わずに「・・・話を続けてくれ。」と促す。
フェイ「あの後は幸せだったわ・・・初めは三人で暮らしてたんだけど、途中から神鈴、次に姫竜と一緒に暮らすようになったわ。」
そう呟き見えない目で遠くを見るフェイ。その後いきなり時が苦笑する。
時「・・・ブリジット殿よりフェイ殿を紹介された時は動揺したもんさ。」
その言葉に笑ってみせるフェイ。
フェイ「神鈴が冒険を始めて・・・しばらくしてからPTを組んだっていう話を聞いて紹介されたのがまずブリジットさん。」
そういうと顔を時の方向へ向き返すフェイ。
フェイ「彼は不思議な人よね。今まで色んな人と出合ってきたけどあんな異様な雰囲気を放つ人とは会った事がないわ。」
そういって少し笑うフェイ。「よく寝るし。」と言いながら。
時「・・・それでブリジット殿から知り合いができた、といわれて紹介されるとフェイ殿だった・・・今思えば虫のいい話だな。」
フェイ「あの時はびっくりしたもんね・・・お互い盗賊になってて初めわからなかったわ。」
顔を見合わせて少し笑ってみせる二人。しかし次の瞬間表情が曇る。
時「・・・その反面"あいつ"とも出会ってしまったな。」
フェイ「・・・そうね。」



フェイと時がよく言う"事件"。ごくわずかな人しかしらない事件。
あれは用事でフェイヨンに来た話である。
ブリジットが用事を済ましてくるので外で待ってるよう言われたので、三人で散歩していた。
時「まさかこんな形で再会するとはなぁ・・・。」
そういって二人を見て笑う時。フェイと観鈴も笑って返す。
神鈴「まさか時さんがお姉ちゃんの幼馴染だなんて知りませんでしたよ!時さんの話はよぉく聞いてますよ?」
そういって意味ありげな表情で二人を見る観鈴。フェイが真っ赤になって「ば、ばか!」と神鈴にむかって声をかける。
フェイ「まったくもぅ・・・でもこうやって無事に会えるなんて夢にも思わなかったわ。・・・ふふ、しかも両方盗賊で再会するとわね。」
そして笑うフェイ。昔のままである。
時「それにしてもブリジットさん遅いな・・・まさか寝てるんじゃないかな?」
その言葉を苦笑する二人。・・・あの人ならありえる。



時「まぁブリジットさんのことだしぶらぶら・・・!?」
途中で声を切り周りを警戒し始める時とフェイ。神鈴は「きたんですか!?」と慌てて二人の後ろに向かう。
昔からブリジットは理由こそ教えてくれなかったが様々な人から命を狙われていた。
当然、一緒に冒険する人たちもその危険を背負う形となる。
なのでブリジットは人と関わりはするものの心を開こうとしなかった。表面ではそういった素振りは見せないものの、一向に開こうとはしない。
そんなブリジットを冒険をする者は、何かしらブリジットに助けてもらった者ばかりである。
理由は必要はない、彼がいなければ自分は今存在しないのだから。
そんな仲間にブリジットは「私と一緒にいると危険だっていってるのに・・・馬鹿だなー。」といって笑って見せたもんである。
フェイ「・・・今までと違うわね。かなり出来る奴・・・場所を掴めさせてくれないわね」
そう呟くとフェイは周りに視線をちらちらと向けた。時も同じく周りをしきりに警戒している。
その時、急に目の前に女性が立っていた。「・・・いつのまに。」と時が呟く。剣士で長髪の金髪の女性であった。
フェイ「・・・私達に何の用かしら?」
そう戦闘態勢を解かずに問い掛けるフェイ。
剣士「・・・貴方達に恨みはないんだけど・・・死んでもらうわ。」
そう呟くと急に姿が見えなくなる。慌てて周りを見渡すフェイ。
「・・・まずは一人かしら?」
その言葉は後ろから聞こえた。・・・まずい!!神鈴が!!
時「・・・くそ!!」
手にした剣を観鈴に振り下ろそうとする剣士。その瞬間、観鈴に思いっきり体当たりをする時。
剣士「馬鹿な子・・・まぁいいわ、まずは一人・・・。」
次の瞬間、時の背中からおびたたしい鮮血が出る。「ぐはっ!」という言葉を最期にその場へ倒れる時。
その光景に顔を青くさせるフェイと観鈴。
剣士「・・・どちらが先にやられたいかしら?」
そう呟くと二人へ近づいていく剣士。するとフェイが急に剣士に突っ込んでいった。
フェイ「・・・許さない!!」
剣士「まずあなたね・・・少し待ってもらえるかしら?」
フェイの目の前にいたはずの剣士がいなくなっていた。すると後ろで神鈴の悲鳴が聞こえる。
後ろを見ると、観鈴の腕と足から血が流れていた。その場に倒れこむ神鈴。
フェイ「き・・・貴様!!」
剣士「邪魔なのよ・・・あなた。」
そう冷たく言い放つと、顔を神鈴からフェイの方へ向き直そうとする。
剣士「じゃぁそれでは・・・!?」
その言葉を遮るかのように剣士を切りつけるフェイ。血が刃についていた。
右目を抑えながら剣士はフェイを睨みつける。
剣士「・・・意外、速さだけは常人より飛びぬけているようね。・・・けど。」
するとフェイの目の前に剣士が姿を現す。次の瞬間、フェイの視界が真っ暗になる。
否、両目を切られたのだ・・・声もですその地へと倒れこむフェイ。そのまま気を失ってしまった。
剣士「甘いわねぇ・・・さて、と。」
すると倒れたフェイに血で赤く染まった両手剣を振り下ろそうとする剣士。



次の瞬間、キィィン!という剣のぶつかり合いが周りに響き渡る。剣を引き体を一旦後ろへと下げる剣士。
剣士「あら、遅い登場ね?」
そういって目の前にいる剣士を見る。当然現れた剣士はブリジットであった。
ブリジット「・・・よろしければここは一旦下がっていただけないでしょうか?」
そう剣士の顔を見ずに言うブリジット。そんなブリジットをみて笑う剣士。
剣士「何をいっているのかしら?引き下がる訳・・・!?」
ブリジットが顔を剣士に向けたと同じタイミングで剣士の声が止まる。
ブリジット「貴方の意見なんぞ聞いてはいないのですよ・・・早く退きなさい?」
そう呟くブリジット。その言葉を聞き、何もせず剣士は街とは反対方向へと走りさっていく。
走り去るのを確認するなり手で顔を抑えるブリジット。そして三人を抱えフェイヨンへと戻っていく。
後に"PK"といわれるこの行為が世に広まる前の出来事であった。フェイヨンではこの事件を闇の中へと葬り去る事が決定された。
時は幸い体に別状が無かった。しかしフェイは両目が見えなくなるという重症を、観鈴は冒険を断念せざるおえない傷を足におってしまう。
何より問題だったのが観鈴以外を除く二人の精神状態。幸い観鈴は安定していたのだが、二人はまったく反応を示さなかった。
時が何とか意識をはっきりとさせるも、心の傷が大きいためか何も話そうとはしなかった。
フェイには目の周りに包帯が巻きつけられる。フェイも後に意識がはっきりしたものの、放心状態であった。
そして一週間が経った。時はフェイに一言つげてからブリジットと共にこの地を後にする。
時「・・・奴は絶対またブリジット殿と接触を図るはず・・・その時まで私はこの人についていき力を上げる。」
時「それともう一つ。・・・奴の名前は玉藻前。ブリジット殿がそういっていた。」
そう呟きフェイヨンを後にする。フェイがこの後何をして現在に至るのかは時もよくしらない。・・・否、聞くつもりがない。
この事件以降、ごく一部のこの事件を知るフェイヨンの住民はブリジットの事を"疫病神"などと言うようになった。



フェイ「・・・その機会がこうも簡単にくるなんてね。」
静かになった隠れ小屋で静かに呟くフェイ。
ブリジット「・・・まぁ私は何も言うつもりはございませんがね。あの人を殺るつもりですか。」
驚いて横を見る時とフェイ。すると横にブリジットが座ってこちらを見ていた。
ブリジット「あの時は私の責任なはず、君達が業を背負う必要はないはずです。・・・というかたっくるしい話は置いといて。」
そう言うなり思いっきり息を吸うブリジット。
ブリジット「まっずは飯にしましょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」



晩飯を食べ終わって各自が紅茶を飲みはじめる。
ブリジットは紅茶が苦手で、お茶を入れてもらった。・・・しかし猫舌なので冷めるのを待っている。
すると、ふと気付いたかのような表情をすると紅茶を飲んでいるフェイの方を向く。
ブリジット「あの二人は大丈夫なのですか?」
その言葉に顔を向けず軽く「大丈夫でしょ」と軽く答えるフェイ。
すると時が「三つ目が一番辛そうだな。」と呟き少し笑いながら紅茶を飲む。
その発言に意地悪そうに笑うフェイ。
フェイ「まぁ、春に一太刀浴びせるようになるにはまだかなり先の話だと思うけど」
そう言って少し間をあける。
フェイ「あの二人には私達のようになって欲しくないから・・・ね。春に任せるのが一番なのよ。」
と呟く。言い終わると、フェイがブリジットの方へ顔を向ける。
フェイ「で、例の件なんだけど。」
そう聞かれたブリジットから返事がない。・・・よく見てみると寝ていた。
その姿に苦笑するフェイ。
時「・・・奴は今フェイヨンダンジョンの最深部にいる。みた殿の話によると騎士になってるようだ。」
そうフェイを横目で見ながら時がブリジットの代わりに答える。
フェイ「そう・・・ではあいつの狙いはあそこの主の狐かしら?」
何も言わず時は頷く。
すると不意にフェイが立ち上がる。時も何もいわずにフェイの近くに向かっていく。
するとフェイが寝ているブリジットの近くへと近づいていく。
フェイ「ごめんなさいブリジットさん。・・・私は奴を許せない。私の目を奪い、観鈴の冒険を奪った。」
そういうと体を振るわせるフェイ。
フェイ「・・・先に行かせてもらうわ。あなたは絶対私達をとめるでしょうから・・・ごめんなさい。」
そう言うなりこの部屋を後にするフェイと時。時間が少し経った頃であった、ブリジットが急に動く。
ブリジット「・・・ん、いったか。」
そう横目で確認すると、近くに座るブリジット。
ブリジット「殺し合いでしか答えを見出せない。・・・悲しいもんだな、復讐に身を置くという事は。」
そう一人呟くと、目の前にある先ほど自分が冷ましていたお茶が入ったコップを手にとる。
ブリジット「復讐なんて・・・奴を殺した後に一体何が残るというのだ?そんな先の無い事に命をかけて馬鹿らしいとは思わないのか?」
そう呟き冷めたお茶を飲む。そうして後ろにおいてある両手剣を片手で持ち上げる。
ブリジット「君達にはすまないが・・・止めさせてもらう。」
そう言うとブリジットは闇の中へと姿を消す。・・・目指すはフェイヨンダンジョン最深部。



玉藻前「・・・そろそろ月夜花を出してくれないかしら?」
そう目の前にいる九尾の狐に言い放つ。しかし狐達は戦闘態勢を解こうとはしない。
そんな狐達を見下したような冷たい目で見る玉藻前。
玉藻前「そう、残念。まぁいいわ、護衛役の貴方達を殺してからゆっくり探すから・・・。」
そう一言言うと両手剣を持ち狐の群れへと向かっていく玉藻前。
狐も玉藻前に向かって飛び掛っていくのであった。



つづく




〜あとがき〜
にゃっす!今回も気合いれてるさぁぁ、ブリジットでございます!
さて、今回はフェイさん達の過去についてふれさせて頂きました。
なんと!!!時さんとフェイさんは幼馴染なんつー設定!!ひゅーひゅー(ぉ
今後の玉藻前さんの行動などが気になりますね!!こうご期待!!
・・・え?初めのブリジットがル○ン風だって?・・・気にしないで☆(>∀・)
それでは♪
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